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ここでしか書けない創刊秘話

音楽誌「音に生きる」創刊までの挫折・苦労・感動…悲喜こもごもの本音を編集長が語る!

笑顔とビール

【第30話】
美しい黄金色をまとったジョッキが5つ、テーブルに仲良く並んだ。
のどが鳴る。
ジョッキを誇らしげに、高く掲げる。
「おーーーーーーーっ疲れさまでした」
「かんぱーい」
ゴクゴクゴク。
「クーッ」
久しぶりのビールは始めて呑んだ日の味を思い出させてくれた。
それほど長い禁酒生活だったことになる。

みんな笑顔だ。
各自、クレイジーな体験を振り返りながら、苦しみ続けた日々を笑い飛ばしていく。
今回の経験は、おそらく生涯忘れないだろう。
なんのコネクションもない。
音楽業界で仕事の経験もない。
雑誌づくりという共通点に活路を見出して突き進んできた。
無謀だと多くの方から指摘され、自身も何度か折れそうになった。
この業界では“普通”こうしますよというニュアンスで、ずいぶんと恥もかいた。
でも、バイク雑誌を始めてつくったときもまったく同じで、経験済みなのが強い。
「無謀は百も承知でやってきたんだよ」と、心で何度もつぶやいた。
むしろ自戒したのはバイク雑誌だったらこうなのにといった、自分の中に存在している“普通”の存在を抑え込むことだった。
「ボクごときの経験なんざ、たいしたものじゃない」
そう自分に言い続け、いつしかきちんと認識出来たのは、今回の仕事の大きな収穫のひとつだ。
みんなの笑顔を眺め、美味いビールをのどに流し込みながらそんなことを考えニヤニヤしていると「メモリーカードなくしたときは、ほんと落ち込んでましたよね(25話・取材ファイナル/大事件編参照)」と、キラーパスが飛んできた。
「やかましいっ」

人は人と出会い、いつか必ず別れがくるのはいうまでもなく宿命だ。
それは早いか遅いかの問題で、仕方のないことだ。
だから一緒にいる時間を、出来る限り有意義なものとすることに努力したい。
それには、互いに持っている力を引き出し合いながらの仕事はすごく近道だといつも思う。
真剣になればなるほど相手も真剣になってくれるし、熱くなればなるほどやはりこたえてくれる。
雑誌づくりは、そこが大きな魅力でもある。
関わった人間の数×それぞれが出した力=大きければ大きいほど=いい雑誌。
という式が成り立つのだ。
ボクは“雑”の字が入っている雑誌という表現が大好きだ。
関わった人間がひらめきや感性や熱を、雑多に送り込んで完成させるものなのだととらえている。

それと、弱虫のボクは1人ではここまでの仕事はきっとできない。
みんなの頑張りや期待があるから、なんとか走り続けている。
苦しくて苦しくて、なんで創刊しようと思ったんだって後悔までしたりして。
でも、これまでも逃げないでなんとかやってきた。
苦しみが大きければ大きいほど、でっかい笑いが帰ってくることを知っているからね。
そう、ボクは最高の喜びを感じている。

「すいませーん、生ビール5つおかわりください」