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ここでしか書けない創刊秘話

音楽誌「音に生きる」創刊までの挫折・苦労・感動…悲喜こもごもの本音を編集長が語る!

専用辞書

【第28話】
もうまさに、大詰めである。
デザインの打ち合わせをしたかと思えば、
ページ数の変更。
原稿の上がりがイマイチだと、
丁寧にそれをライターに伝える。
本気の作業が、幾重にも積み上がって雑誌は完成する。
それはそれは、気の遠くなるような作業がはるか彼方までつながっていて、
一生ここから出られない夢を見るほどである。
ボクはありがたいことに何冊かの創刊を手がけてきた。
ありがたい反面、体に相当なインパクトがかかっていく。
それでもこの仕事が嫌になったことはないし、
むしろ毎回好きになっていく。

「生きる」量の問題だとよく考える。
雑誌を創り、
その向こうにいる読者に、
昨日より深い笑顔が生まれたらいいなと。
そんなことに燃えられることが、
ボクにとっては充実した「生きる」時間なのである。
でもそれは本当に大変なことで、
悩み苦しみ抜いて吐き出していくのである。
「仕事が楽しい」なんて絶対にない。
ただ、苦しんで苦しみ抜いていいものができたときに「ウレシイ」のである。
それがボクにとっては「生きる」ことだ。
創刊の度に白髪がドッと増え、
毛がバッサリと抜けるのも、
その証と思えばカワイイもので(ちょっと強がり)。
それにね、ボクみたいな頑丈なヤツが激しく「生きて」いかないと、
200歳くらいまで寿命が延びちゃって高齢化社会の粗大ゴミみたいになってしまうからね。
うん、はっきり言えますよ!!
命削って仕事してます。

そんなだからね、
夢にもしょっちゅう出てくる。
この日も、常宿である「民宿クレタ」で朝5時過ぎに寝袋IN。
天使の寝顔(のはず)でスヤスヤスヤから、
突然バサッと起きあがった。
汗ぐっしょりで、
窓の外はすっかり明るいが、
まだ7時だ。
締め切り間際ならではの、
恐ろしい夢である。

この段階にくると、進行のいい原稿は文字を正しくするための作業に入っている。
間違いを正すことだけでなく、
よりいい文章に手直ししたり、
雑誌全体を通して表記をそろえたりしていく。
たとえば、巻頭の特集では『ライブ』と書いてあって、
巻末のレポートでは『ライヴ』になっていたりするのは、
間違いじゃないけどカッコわるい。
漢字とひらがなの使い方でも『下さい』か『ください』にするかは、
合わせてあった方がカッコいいじゃない。
こうした使用頻度の高い言葉は、
編集部でのルールを集めたオリジナルの社内辞書が存在するのだ。
毎号問題が起こると更新して作りあげた、
たいそうなものである(ちょっとウソ)。
だが、ある程度予想はしていたのだが、
この締め切り間際に問題となって勃発した。
なんつったって今まで築き上げた社内辞書は、
バイク用語専門。
先の「ブ」と「ヴ」の問題など、
ほぼ「ブ」でクリアしてきた。
だが、今度は音楽専門誌。
そんなわけにはいかないと、
いちいち確認が行なわれ、
前述の辞書に手書きで追加されていく(これらは締め切りが終わるとデータ化され、改訂版社内辞書

として出力されるのだ)。
「イヴェントはどっちですか?」
「ベだろ」
「ちょっと待てよ、オレはヴェ派だぜ」っていちいちである。

…。と、長い説明におつき合いいただき、
ありがとうございました。
こうして毎日パニックになりながら書き足していった社内辞書が、
最終入稿前々日に紛失するというとんでもない事件が起こったのだ。
夢の中で。
う〜ん、
長生きはできないな。