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ここでしか書けない創刊秘話

音楽誌「音に生きる」創刊までの挫折・苦労・感動…悲喜こもごもの本音を編集長が語る!

初出張! 名古屋取材

【第22話】
岐阜でのバイクイベントを無事に終えて東京へと戻る面々だが、
ボクは途中の名古屋で下車。
『音に生きる』初の出張取材である。
翌日に予定している、
世界を舞台に活躍するイラストレーター若野桂氏の取材に備える。
備える…? つったってホテルでおとなしくしているわけがない、
1人の夜もまた楽しいのである。

出張の多いボクは自然と1人で繰り出すことが多い。
まずはうまいつまみで呑める店を探す。
情報誌には頼らないし、
あえて地元の人にも聞かず、
店の面構えだけで決める。
ジャケ買いの気分でのれんをくぐるのである。
これがいい。
音楽雑誌のベタ褒め記事を読んで買ったCDが、
イマイチだとすっごく後悔するよね。
でもね、ジャケ買いでの失敗はあきらめがつく。
呑み屋も一緒。
それに、せっかく知らない街に来たんだから、
よそ者のままで楽しみたい。
盛り上がれば長居するし、
失敗だったら早々に締めて会計すればいい。
いずれの場合でも、
2軒目にはバーを探して街をさまよう。
バーはほとんど失敗しない。

この日も大当たりで、
地下に潜るといい具合に疲れた狭い店。
年季のはいったカウンターに陣取って安酒をロックで頼む。
アナログ盤が壁に数多く突き刺さっていて
「もしよかったらリクエストをうかがいますよ」と。
「オーティス・レディングは?」
全部あるといううれしい言葉に『オーティス・ブルー』をお願いすると、
B面のラストまでしっかりと流してくれた。
いいねぇ、音楽って。
心のヒダにジャックと一緒に浸みていく感じ。
明日の取材も頑張るぞ! 
1人夜は静かに更けていった。

そして翌日、
印南と名古屋駅で待ち合わせ。
大きな子供たちは、
普段と違う土地で出会ったことをなんとなく喜んでいる。
「いい取材しようね」とボク。
「彼ねぇ、一度取材はしたことあるんだけど、
ベラベラしゃべるタイプではないからね。
それに今や大物だからね」と、
気を引き締めることも忘れない印南だった。
自宅におじゃましての取材ということで、
焼酎を土産に買っていざ。
「どうも」
ミュージシャンとは異なるオーラをまとい彼は現れた。
「ウッ、カッチョイイ」
イラストをメインにしているが、
クリエイティブ全般に精通している。
そういう意味では、
ボクと同業に近い存在である。
ゆえにインタビューは、
写真を撮っている手をしばしば止めてしまうくらいおもしろい。

「セコイことやると、あとで自分に回ってくるよ」
拍手喝采(ボクの気持ちの中)。
そうそう、ある線を越えた人間しか言えない言葉だよね。
努力もろくにしていない、
キチンとした表現も知らないくせに自分を持っちゃっているダメダメな奴には、
このセリフの意味わかんないだろうな。
ボクも日ごろ、
誰よりもこのセリフが似合う男になりたいと頑張っております、はい。
「正直」という言葉も使う彼。
ああ、うれしいねぇ。
部分部分パクって、
コチョコチョといじればなんでも新しいものとしてリリースされていき、
そいつが評価されてしまうインスタント社会。
一時的に金が欲しいならいいでしょう。
でも絶対に長続きしないと彼は言い切る。
もうただ、拍手喝采(もう泣きそう)。
それに、
そんなんで得た金で生きていくのって、
本人腐っていくよね。
腐ったヤツの周りには、
腐ったヤツしか寄ってこないから、
ほらっ、どんどん腐っていく。
「正直」が一番。

感動の取材は無事終了して、
地元出身の某ヒップホップユニットのメンバーを呼び、
新幹線最終までの打ち上げ。
つまみはもちろん名古屋コーチンだよ。
うまいうまい。
ここではとても誌面で展開できない話(ご想像にお任せします)の連続で、
いやぁ、楽しい時間となりました。
初出張を終えた戦士たちは、
ほどよく酔っぱらって名古屋駅で握手。
バイク関連の仕事を翌日にひかえたボクは、
浜松に向かいこだまに乗り込む。
印南はのぞみ号で東京へ一直線。
また明日もそれぞれを戦う男たちに、
休息の日はまだまだ遠いのである。
がんばれ、おバカコンビ。
負けるな、おバカコンビ。