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ここでしか書けない創刊秘話

音楽誌「音に生きる」創刊までの挫折・苦労・感動…悲喜こもごもの本音を編集長が語る!

あこがれの編集長とお仕事

【第16話】
洋楽に本格的に興味を持ったのが中学1年生のとき。
以来、少ない小遣いを音楽に注ぎ込むようになった。
そうそう小遣い…、文字通り、小さかった。
東京は荒川区の電気商店を営む親父は、やっとこさ崩れずにいる長屋でスモール、そう、すもうるっ! だからっ、ミニミニ! な、とっても小さな(興奮)ビジネスを展開していた。
とはいってもあのころ、まわりも貧乏な家が多かったから気にすることなく元気元気!
貧乏息子同士で徒党を組み、小遣いの吊り上げを要求する。
「ノリはお小遣い上げてもらったってさ。いいなあ」
その夜ノリも「北さん、上がったって喜んでたよ」
子供たちの浅知恵はいつも玉砕。
最下点をさまよう仲間同士で妙な連帯感があったのだ。

その少ない小遣いにおける、音楽エンゲル係数(?)は異様に高かった。
とくに大きなウェイトを占めたのが、毎月買う『ミュージックライフ』誌である。
平綴じの豪華製本。
高級感を感じさせた紙質。
記事のわかりやすさ。
毎号手を替え品を替え出てくるエアロスミスやクイーン、レッドツェッペリン、ストーンズなどなどの人気アーティスト。
あらゆる意味で、中学生のボクを完全に虜にした。
後にも先にも、あれほど発売日を心待ちにした雑誌はない。
実家の本棚にはいまだに3年分が保存されているほどだ。
惜しむべくは、クリアーファイル(なんかさぁ、流行ったんだよね、下敷き!?)にはさむために切り抜いてしまった、グラビアページ。
ああ、若さとは愚かなことよ…。

やがてボクはギター小僧になった。
そんなときにお世話になったのが『ヤングギター』である。
価格が比較的安いので、読みたい特集だったり弾きたい曲の譜面が掲載されていると購入するパターン。
そこに割って入ったのが『ギターマガジン』だ。
コイツは衝撃だった。
中身の濃い教則に譜面まで付いている。
この選曲がまたいい。
あこがれのフュージョンナンバーから、中学生の心を鷲掴みのハードロックまでをも網羅。
これ以上のバイブルは存在しないとまで評価した(ってガキがなに言ってるんだか)。
『ミュージックライフ』に続き多大なる影響と、経済的なダメージを受けた存在だった。

と、ずいぶんと長い前ふりになったが、8月下旬のことである。
とにかくスタッフが足りないことをライターの葉月さん(第10話参照)に相談。
「いい人いますよー」と紹介してくれた方と面会した。
「こんにちは、よろしくおねがいします」
「こちらこそ」と、おっ、なんかカッチョイイぞ。
「これまでどんなお仕事をなさっていたんですか」
ちょいヒビリながらのワタクシ、どう見ても年上で自分が思い描いていた音楽業界人なのだ。
「プロフィール持ってきました」と取り出したA4の安っぽい(スンマセン)紙にはぬぁん〜と、あのギターマガジン編集長と書かれているじゃないですかっ。
「△▽■□×♪、○●」と、声が音にならないボク。
『ギターマガジン』の創刊スタッフであり、1年後には編集長に就任し、その後も数々の雑誌の立ち上げや執筆活動をしてきた川俣氏、その人だったのである。
当初、「音楽系に強い編集の方」というライター葉月さんによるアバウトなキャッチコピーだったため、そんな気分で油断していた。
とにかく、この人と仕事がしたい。
雑誌のコンセプトを説明すると「おもしろそうですね。企画を何本か持ってきますよ」と、スタッフに加わってくれたのだった。
彼を見送った後、応接スペースからドタドタと編集部に戻り「あのさっ、ぎたぁまがじんの元編集長とお仕事なのよ、お仕事」
「そうなんですか」
「お前、ことの重大さがわかってないだろ」
「はぁ」
どいつもこいつもギターは弾かないのである。
なにはともあれ、自分を育ててくれた雑誌をつくった方と仕事ができる喜びでいっぱいのボクだった。

そして自画自賛、やっぱり新しいことにチャレンジすることっていいな。
自分の無謀な勇気にかんぱーい。