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ここでしか書けない創刊秘話

音楽誌「音に生きる」創刊までの挫折・苦労・感動…悲喜こもごもの本音を編集長が語る!

第1回、編集会議と決起大会

【第10話】
編集3課の陣容は整った(ホントか?)。
そうしたらやるべきコトは1つ、飲み会じゃ。
いや、編集会議じや。
どっちも大事じゃ、ということで7月27日に豪華同時開催となった。
もう時間はないという緊張感がイマイチ足りないが「みなさんがんばりましょう」で会議は始まった。
足りない緊張感は、各自もっとヤバイ進行になっている直近の担当バイク雑誌があるからで、比べてしまえば3ヶ月先などなんとかなるムードが流れてしまっている。
まあ、第1回だしなと、ゆるゆるに進行。
宿題は雑誌名と特集企画。
真剣味が足りないと思われ始まった割には、みんなよく考えてきていてとりあえずホッとした。
創刊号のほとんどの企画がこの日出されたアイデアを詰めていったモノであることからも、レベルの高い会議だったのだ。
ここで編集長に大きな問題のあることが発覚した。
みんなから次々と候補にあげられていく邦人アーティストの名前が、ほとんどわからないのだ。
そう、なにを隠そうこれまでまったく興味がなかった。
「それどんなヤツなの?」
「ふーん、そうなんだ」の繰り返し。
世の中の動きから完全に取り残されたオッサン状態であることに気付かされた(って、おそ〜い)。
でもね、大丈夫。
なんてったって、オイラは現役ミュージシャンだからね。
音楽を長年続けてきた(かろうじて、細々とね)から、本質は見える…、と、説得力のない理論と行き場の見えない自信。
とにかくここはヤバイと感じながらも、編集部員たちのセレクトで15以上の候補に絞り込んだ。
ずいぶんと多くの候補を挙げたのは創刊誌ゆえ、そう簡単には取材依頼が通らないだろうことを見越してのこと。
ましてやうちは、音楽業界に初めて帆を出す出版社なのだから。

で、だんだんと議論は熱くなりながら会議は続く。
そしてこの会議で使用している部屋、暑い!!
この夏、我が社をおそった大トラブルが電気容量不足事件だった。
クーラーを回せないのである。
スタッフが増えた分だけパソコンが増えた結果で、当然不動産屋に抗議したが…。
アイスを持ってきて「すみませんねぇ」を繰り返すだけ。
新しいビルに引っ越すことへの古いビルの怨念かよ。
うちわ、扇風機、ひどい日は氷の柱設置なんてので対策したが、んなもん気休めにもならない。
そんな過酷な状況下での会議である。
だが、みんなバイク以外の世界に行くことには情熱を持っている。
その熱さでよけいに暑い。

そこにひとりだんまり&ムッツリ男がいた。
澤田である。
休憩時間に呼び出したのだった。
「てめぇ、やる気あんのかよ」
この休憩まで発した意見はまったくのゼロ。
音無しの構えである。
「いやっ、すみません。邦楽は全然わからないもので」
ふん、オレだってまったくわからんと心でつぶやいて。
「わかるわからないと、企画の方向性は別だろっ。みんな命かけて本をつくってんのに一人だけ部外者がいるんだよ」
激しい。かな〜りっ、激しい。
声をあらげ、叱りつけた。
そしてボクは必殺技、伝家の宝刀、ミラクルアタックetc…、である攻撃を浴びせたのだ。
「やる気がねぇんなら、帰っちまえ」
実に5年ぶり(くらい)である。
究極である。
かつてこの言葉にホントに帰っちゃったヤツや、言われたのが取材先の京都だったから帰らないで、今も頑張っちゃってるヤツとか、えーい、とにかく伝説なのだよ。
そして、もう封印していたのだ。
昨今の若者には叱るというのは向いていないのだとか、怒鳴られた経験がないヤツに怒鳴られて育った自分の世界を押しつけるわけにはいかないとか、なんだかんだウジウジと封印してきた。
が、伝家の宝刀を抜いたのだ。
んなこと言っていられないほど本気である。
みんなも。
だから本気で叱りつけた。
「いやっ、やる気はあります」
「じゃあ、しっかり議論に参加しろっ」と、会議は続いた。
ふうっ、帰らなくてよかったね!!

社外スタッフ面談で、ぜひこの人とは仕事をしたいと思った女性ライターの葉月さんも夕方から会議に加わってもらい、やがてみんなで飲みに出かけた。
決起大会である。
「いいモノ創ろう」
うーん、具体性に欠けるが今宵はこれで突っ走るしかない。
何度もこのセリフを吐いた。
11時頃、店を出て副編集長の印南と最終電車まで安酒屋(第3話と一緒のバー)で飲んだ。
不安を吹き飛ばしたいがために付き合ってもらっているようにも思えた。
「いいモノ創ろう」を百連発くらい繰り出して別れ、ボクはそのまま会社に戻り、たまっていた帳簿を2時間ほど進めて、午前3時過ぎ、寝酒を求めてバーに出かけた。

もう戻れない。
この日強く思ったことである。