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ここでしか書けない創刊秘話

音楽誌「音に生きる」創刊までの挫折・苦労・感動…悲喜こもごもの本音を編集長が語る!

表現の最終到達地点を見る、見る、見る

【第4話】
5月にGoが出て早くも1ヶ月以上が過ぎた。
が、なにも進んでいない。
CDショップや渋谷、下北沢をぶらつくことに時間を作った程度。
それととにかく書店を観察。
音楽雑誌コーナーで1時間ぐらい、お客さんの流れをただ眺める。
これは去年と今年、ボクにとっては完全に未知なるターゲットに向けて創刊させたときの手法だ。
眺める時間×店舗数=スゴイ時間。
大変地味な、無駄にも取れる作業である。
が、ここでひとつ、ちょっぴりややこしい話であるが解説しておこう。
「最近の若者って本読まないじゃない」
ボクのいるバイク業界でもほとんどの関係者が言うんですよ。
「だからビジュアル重視の誌面づくりを」って。
これはまったくナンセンス。
そんなんでつくった本が売れるわけないじゃん。
ビジュアル重視で本が売れるなら、有名カメラマンたちが精魂込めて撮り降ろした写真集がなんで全然売れないの?
そこまでのお金をビジュアルに払えないからでしょ。
せいぜい小娘たちのヘアヌードくらい。
雑誌ってビジュアルと文章が、その雑誌自体のフィールドや持っていきたいテイストに合わせてちょうどよく配分されていて、それが高度なデザインとレイアウトで表現される。
そのうえで、ネットやテレビといった、他の媒体ではできない世界観を作りあげなきゃダメでしょ。
そのテイストを見極めるために、ボクは書店に行くんです。
音楽雑誌を買っている人ってどんな格好をしてて、どんな目をしてて、どんな友達がいるとか、いろんな尺度でただ眺める。
ここでは変な分析をしないで、現象をたくさん飲み込むようにする。
地方出張に行っても同じように。
深夜のショップにもちょくちょく出かけた。
Bomb!!丸飲みしたたくさんの現象は、やがて自分の中で化学反応するように、新しい姿を見せる。
コイツを引っ張るべくテイストを定める。
なんだか感覚的でわかりづらいでしょうが、編集長のもっとも重要な仕事であり、怖い賭けでもある。
マーケティングデータに基づいた…、なんてバカな話をたまに聞くが、ボクにいわせればクソの役にも立たない(ボクの場合だよ、よい子はマネしないようにね)。
整理整頓された数字から読みとれるものなんかで、雑誌という表現が作れて成功するなら、誰だってつくれるでしょう。
見て、聞いて、感じて、読みとるからこそ、生きたマーケティングができるのだと信じてやってきた。
これからもね。
と、えらそうに書きつづってきたが、この時点でなんにも見えてこない。
ターゲットの観察はかなりの量になってきて、ぼんやりと化学反応を始めてきた、が、まだ弱い。
そもそも、なぜこの本に社長として(ここではあえて編集長でなく)Goしたのか。
提出された企画書に記されたタイトルは『音で食え!』。
アーティストだけでなく広く音楽業界で働きたいと思っている若者向けの本。
日々、努力を重ねるプロたちをリアルに見てもらおうというもの。
自分の経験をすり合わせても音楽業界で食いたい願望が強い人は多かったし、こいつはアリだ。
「イケル」
だが、編集長を自分がやるとわかっていたらGoは出さなかったかもしれない。
ボクには難しすぎる。
不安が日々大きくなり始めた6月である。

創刊まであと4ヶ月…、だ。